━社会━

 日本がカジノ合法化への道を探る上で、議論すべき事に 「カジノと社会」の関係が挙げられます。ここで使った「カジノと社会」 の定義付は、カジノが社会に与えうる全ての事象です。 当然、社会にとってプラス面もあれば、マイナス面もあります。 今後、我々はその両面を中立な立場で、議論・検討する必要 があるでしょう。

  ここにアメリカのギャンブラー団体が発表した 「カジノと社会」に関するデータがあります。その報告書によるとカジノに隣接するコミュニティーの自己破産・犯罪の発生率は他の地域と比べ殆ど変わらないことが伺えます。

 犯罪についても同じ事がいえます。'95年のカジノ設置以来、犯罪が伸びたという報告もありません。実際、全国平均と比べると'90年代の犯罪発生率は下落しているようです。
  具体的な数字で示してみると、カジノオープン前の'91年では家屋侵入・車両盗難1,638件、窃盗4,776件、強盗139件。 オープン後の2000年では家屋侵入・車両盗難1,133件、窃盗4,144件、 強盗138件。その上、失業・失業保険率に至っては7分の1まで下がります。

 自殺及び幼児虐待に関してもこの報告書ではギャンブルとの関連性は薄いと結論付けています。 この報告書を見て、「カジノ誘致は社会に与えるマイナス面がない」と考えるかもしれません。
 
 しかし、それは違います。この報告書には大きな落とし穴があります。それはこの報告書ではカジノのプラス面しか伝えられていないという事です。
 
 一方、アメリカにあるギャンブル反対団体 「National Coalition Against Legalized Gambling」の数多くの報告書を見れば、先の報告書とは全く反対の数字を見る事になるでしょう。(詳しくはこちら。)
 
  つまり、誰がどの様にデータを集め、分析したかにより報告書はかなり偏ったものになる危険性があるのです。カジノに関する諸問題は誰に聞くかによってその意見は千差万別。カジノが地域に与える経済的・社会的影響というのはどのような資料を参考にするかによって180度違ったものになるのです。
 
 ですので、カジノ解禁を考える際には賛成・反対両方からの意見に耳を傾け、どちらにも偏る事無く、中立な立場での注意深い検討が必要になります。

 カジノは常に「正の部分」と「負の部分」 を持ち合わせます。カジノ解禁の論点はそこにつきます。 カジノが社会にもたらす負の影響を思いつくままに列挙すれば ギャンブル依存症、青少年への教育上の問題、犯罪の増加・・・。

  一方、アメリカをはじめカジノ誘致が社会に対しプラスに作用しているのもまた事実。 今後、これら一つ一つを取り扱っていくつもりです。 カジノ合法化については賛否両論あるかと思いますが、 この機会にもう一度じっくりと「カジノと社会」について考えてみませんか?  

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