━カジノ旅行記(ルイジアナ・ミシシッピー編)━ 

 本場のジャズをバックに優雅なひと時を楽しめるニューオリンズのカジノ、メキシコ湾に面したカジノの街ビロキシーにひしめく巨大リゾートカジノの数々。
 「ラスベガスとは違ったカジノを一目見たい!!」そんな想いを胸に夏休みを利用してルイジアナ、ミシシッピー州のカジノ巡りをして参りました。
 今回はいつもと少し趣向を変え、肩肘張らずに読めるカジノ旅行記をお届けしたいと思います。果たしてどんな旅行になったのやら・・・。

 まず、最初に訪れたのはアメリカ南部の湿地地帯に位置するルイジアナ州。この州では1991年に地元経済復興を目的に、川や湖など特定区域に限定したカジノ解禁が行われます。その背景には犯罪増加や青少年への悪影響を危惧する地元民への配慮の結果、隔離した場所でのカジノ合法化となったわけです。その後、解禁前に心配された犯罪などの増加も確認されない事や、河川における船舶の交通量増加を理由にゲーミング委員会は設置型、陸上型カジノの運営も許可する新たなゲーミング法を制定。しかしその背後には、陸から離れての運営の為、客足が伸びず経営が悪化したのが原因、とも指摘されています。

 さて、ルイジアナ州最大の都市であるニューオリンズには歴史的建築物を改築して作られたハラースがただ1軒運営されています。このハラースには全部で5つの入り口が設置され、週末の混雑時のメインエントランスには、一時間で2000人ものプレーヤーが入場するといいます。また、それぞれの入り口にはカウンターを持ったセキュリティーが入場客数を数えると同時に、21歳未満と思われる入場者に対し、徹底したIDチェックを行い、未成年者の入場に目を光らせていました。

 ハラースには日本の都市部でホテルやショッピングモールなどを設けない単体カジノでの合法化を目指す際、学ぶ所は多いと感じます。まず、カジノ近郊に位置するヒルトンなどのホテルと提携を結び、カジノでのプレーに応じて宿泊無料などのコンプサービスを行っています。その他、水族館などのアミューズメント施設への入場券や地元レストランとビジネス提携を結び、フリーフードなどのコンプを発行しています。ニューオリンズにちなんで、ジャズフェスティバルへの招待券やマルディグラのパレードに参加する山車へのライドなど思考を凝らした様々なコンプも考え出されていました。
 街の真ん中にあるカジノという訳で、無料の駐車場とまでは行きませんが、21歳以上なら誰でも無料で入会できるプレーヤーズカードを使って30分以上プレーすれば一日無料のパーキングチケットの発行も行っています。係員にカードを提示すれば、どれだけの時間プレーしたかが分単位でディスプレイに表示されるのです。
 ニューオリンズ郊外の川や湖沿いにも州の取り決めにより外輪船のレプリカである事などを条件に、幾つかの設置型カジノが運営されています。その多くはかつて実際にカジノ船籍としてクルーズし、設置型として現在でも多くの観光客を楽しませています。

 ルイジアナ州を後に、次に向かったのが今回のカジノ巡り本来の目的地であるミシシッピー州はガルフポートとビロキシー。ミシシッピー州はネバダ、ニュージャージ州についでアメリカで3番目のゲーミングの売上を誇るカジノ密集地。メキシコ湾に面した全長約20kmの海岸線には12軒のカジノが運営され、その多くは、カジノ、ホテル、ショウなどを持つ複合型カジノ。カジノの規模もラスベガスのストリップの物を一回り小さくした大型のものが殆どです。
 ラスベガスとの決定的な違いはそのフロアー設計にあります。ラスベガスではカジノとホテルが一体となり、カジノフロアーを1つだけ設けるのが通常です。しかし、こちらでは、ホテルとカジノが別々に建てられ、3層のカジノフローを設けています。そうする事により、禁煙フローを設けるなど各階それぞれテーマ分けを行ったり、ポーカールームなどの収益率の悪いゲームを上層階に持ってくるなど、いろいろな戦略が考えられます。また、カジノがホテル、レストランと隔離されている為、未成年者がカジノに入る必要も無いなどのメリットもあります。その他には、ラスベガスほどゲーミング市場が発達していない為、技術を必要としないスロットマシーンの比率がビデオポーカーに比べ圧倒的に多いのも特徴でした。
 
 ビロキシーでの滞在先に選んだのがスロット1200台、テーブルゲーム30台を有するこの辺りでは標準クラスのIsle of Capri。実は、ここに宿泊するには21歳以上である事が条件なのです。その理由は、チャックイン時に自動的にカジノのプレーヤーズカードが作られ、それがそのままルームキーとしても使え、このカード1つでホテル、カジノ内での顧客の行動など全てのデータを把握できる仕組みとなっているのです。

 今回の旅行の感想として、一番強く印象に残っているのが両州ともに徹底したIDチェック。ラスベガスではカジノに入る事自体で、IDをチェックされる事はまずありません。入場者数の違いはあるにしても、IDチェックはルイジアナ、ミシシッピー両州で徹底され、参考にすべきだと感じました。
 それから、ただ1つ残念だったのが、ミシシッピー川などに遊覧する船上カジノを体験出来なかった事。「地方自治体カジノ研究会」などが施設形態の1つとして提案している船上カジノをぜひ自分の目で確認したかったのですが。まぁ、それでもいろいろとラスベガスとは違った新たな発見もあり収穫の多いカジノ巡りでした。

 さて、次回はヨーロッパのカジノ視察でもするとするか・・・。

 

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