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━組織犯罪━ 1950年代米国、組織犯罪、汚職との戦い 元警官の３被告に実刑 福岡県警カジノバー汚職 福岡・中洲のカジノバー摘発情報を漏えいし、 見返りに業者から現金１８００万円−５０万円を受け取ったなどとして、 受託収賄罪に問われた元福岡県警警察官３被告に、福岡地裁の林秀文裁判長 は２７日、懲役４年−２年１０月の実刑判決を言い渡した。 各被告の量刑は元警部補坂田一臣被告（５４）が懲役４年、 追徴金１８００万円（求刑懲役６年、追徴金同）、同松尾和弘被告（５７） が懲役３年、追徴金３５０万円（求刑懲役４年６月、追徴金同）、 元巡査部長池田蔵被告（５２）が懲役２年１０月、 追徴金８７０万円（求刑懲役４年、追徴金同）。 贈賄罪に問われたカジノバー業者李功被告（４３） は懲役２年６月（求刑懲役３年６月）とした。 判決によると、坂田被告は１９９８−２００１年、李被告らから３１回、 計１８００万円のわいろを受け取った。池田被告は００−０１年に 計８７０万円、松尾被告は９８年に５０万円を李被告から受け取った。 （共同通信） さて以上は一昨年前に明るみに出た福岡県警のカジノ汚職事件の判決の ニュース。「1,800万円の追徴金、4年の実刑」とこれまでに無い厳しいもの となりました。「カジノ、組織犯罪、汚職」の3つの関係はどの国においても 悩ましい事実であり、現在は「組織犯罪との関係は皆無」とも言われている ネバダ州のカジノにおいてもつい数十年前まで同様の問題に悩まされて きました。今回は、ネバダ州のカジノ清浄化の歴史を見ながら、 カジノと組織犯罪、そして汚職の関係に迫っていきたいと思います。 ネバダ州のカジノが組織犯罪と決別し、清浄化されたのが1950年に アメリカ連邦議会内に誕生した「Kefauver Committee」のおかげだ と言われています。Estes Kefauverはテネシー州出身の上院議員であり、 正義感の非常に強かった彼は1950年に議会内に合衆国内全域の組織犯罪を 調査する調査機関「Kefauver Committee」を設立します。 Kefauver Committeeはカジノ産業を含む様々な産業内を1年に渡って 詳細に調査し、1951年5月に調査レポートを発表します。 Kefauver Committeeはそのレポート内において 1. アメリカ国内の多くの産業にはシンジケートと呼ばれる利益組織が 存在する事。 2. それらの多くのシンジケートはマフィアのような犯罪組織に コントロールされている事。 3. 政治的腐敗がそれらのマフィアに「逃げ道」を与え、 彼らの犯罪行為を助長している事。 など、これまで政界、産業界ではタブーとされていた事実を公表し、 警察組織の再編と組織犯罪に対する厳格なる処置を進め、 より公正な産業のあり方を促進すべきだと結論付けるのです。 このKefauver Committeeのレポートがきっかけとなり、 カジノ産業を含めた米国の様々な産業において組織犯罪との 決別が始まったといわれています。 実は「Kefauver Committee」は当時のカジノ産業を 「組織犯罪の温床」とし、アンチ・ゲーミング・ムーブメントとも 呼ばれる1950年代の「反カジノ合法化運動」の中心となる組織 でもありました。しかしそういった彼らの思惑を他所に、 これをきっかけとして産業構成そのものにメスを入れ、 カジノ産業は業界の清浄化に成功。反カジノとして活動していた 「Kefauver Committee」が、カジノ産業の清浄化とその後の発展に 大きく寄与したのは非常に皮肉な事実です。 さて現在、日本において急速にカジノ合法化論議が進んでおります。 しかし、そういった論議を進める前に1950年代に「Kefauver Committee」 が指摘したような産業腐敗、政治腐敗にもう一度目を向ける必要が あるかと思われます。 脆い土壌の上にどんな立派なビルを建てようともいずれは 崩壊してゆくように、脆い産業基盤の上にどんなに立派な カジノシステムを打ち立てようとも、かならずそのシステムは 崩壊してゆきます。こういった問題には政治に関わる方々の 自主的かつ積極的な取り組みが欠かせません。 今回の福岡県のカジノ汚職事件の判決が、公営ギャンブル、 パチンコ産業、地下カジノなどこれまで産業界、政界でタブーとされてきた 様々な問題に積極的に目を向けてゆくきっかけになることを願っています。 参考;"The Money and The Power" Chap.6, Sally Denton & Roger Morris, 2001, Alfred A. Knopf, New York |