━防止・対応策 (未成年者によるギャンブル) ━

 未成年者のギャンブルを防ぐ有効な手段にも徹底した従業員への教育が挙げられます。まず、未成年だと思われる者がカジノエリアに立ち入った場合には、従業員にID(身分証明書)の要求を義務付けます。また、ID提示の求め方から、有効なIDの種類、、IDが偽造であると思われた場合など、その指導内容は細部に及びます。
 また、保護所を伴った未成年者がゲーミングエリアに立ち入った場合の対処法も教え込みます。
 その他、カジノの入り口には、「未成年者によるギャンブル禁止」を警告するサインの設置(NRS 463.350)や、カジノフロアー入り口付近にスタッフを配置し、未成年者がカジノフロアーに立ち入るのを未然に防ぐ事も有効な対策であると考えられます。
  さらに、ギャンブル依存症と同様、従業員食堂やバック通路など、従業員専用スペースにも「未成年者のギャンブル」に関するポスターなどを張り、未成年者によるギャンブル防止を従業員に徹底させます。

  アメリカにはカジノ同士が協力しあい未成年者のギャンブル問題に取り組むプログラムが幾つか存在します。その中で最も有名なのがハラースを筆頭に作られる「Project 21」。このプログラムの目的は、徹底した未成年者のゲーミングエリア内からの排除です。
  これは、従業員、未成年者とその保護者、それに地域も加えた包括的なプログラムであり、このプログラムを通し、未成年者のギャンブルは法律で禁じられ、その代償は本人を始め、地域、カジノにとっても多大である事を認識させるのです。
 
 「カジノは青少年に悪影響を与えない」と主張するのはGemini Research社に務めるRachel Volberg氏。2年間に及ぶ青少年によるギャンブル問題を調査した結果、ネバダ州の青少年はジョージア、ニューヨーク、テキサス、ワシントンの各州に比べギャンブルを行う回数が少ない事を発見。 さらに、ネバダ州の青少年によるギャンブル問題は、これら4州のうちの3州に比べ大きな社会問題になっていないと指摘します。
 
 その理由としてVolberg氏は、ネバダ州ではギャンブル問題の防止策として、ギャンブル依存症の「悲惨さ」を青少年に積極的に見せつける事が功を奏している、と主張。さらに、青少年とギャンブル依存症患者の触れ合いを社会が積極的に行う事により、ギャンブルの「怖さ」を青少年が身をもって体験出来た事も理由の1つに挙げています。
 
 また、カウンセラーや、カジノマネージャー等による講習会を学校の授業の一環として組み込むことも考えられます。 これにより、未成年者によるギャンブルの危険性を本人達にも直接教える事が可能になります。
 
 言うまでもありませんが、未成年者のギャンブルが発覚した場合には本人は勿論、カジノ側にもその責任を問う法的措置も絶大な抑止力があります。

 ギャンブル依存症や未成年者によるギャンブルはカジノビジネスにとって大きなマイナスイメージとなり、企業存続にまで関わる大問題。それを避けるためにも、この2つの調査はアメリカのカジノ企業によるリサーチが世界で最も大きな情報源になると言われ、問題解決に積極的な取り組みを見せています。

 

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