━自己破産━

 「カジノと自己破産」の関係。アメリカ国内でも 「カジノ」を語る上で必ず議題にあがる一つです。

 カジノ反対派が「切り札」にするカードの一枚である一方、「カジノと自己破産の間には何の関連性も無い」と言い張るカジノ容認派。反対派、容認派がお互いに、両者にとって都合の良い数字を並べた報告書を片手に議論を交わしています。

 そこで今回は、当サイトなりに判断し、最も中立な立場から行なわれたであろうネバダ大学・リノ校と メンフィス大学の調査結果を参考に「カジノと自己破産」の関係をみていきたいと思います。


 この調査は近年に入り、カジノを解禁したアメリカ合衆国内8地域*の個人破産をまとめた資料を参考にしています。

 調査対象地域となったのはカジノ解禁後、4年以上10年未満 になる8地域。調査方法として、上記の8地域とカジノを持たない8地域とを比較検証。カジノを持たない8地域はカジノ解禁8地域と人口、社会、経済的に類似した地域より選別。 個人破産率はChapter7(清算型)、 Chapter13(再建型)に基づいて1989年から1998年の10年間に渡り調査されたものです。


 結論から先に言ってしまえば、カジノと個人破産との間には有意な関連性あり・・・。

 調査された8地域の内、実に7地域において、自己破産率増加という結果が出ています。 更に、その7地域の内の5地域については顕著な違いが認められ、カジノ解禁期間と自己破産率の間には強い正の相関が確認されています。

 しかしながら、この報告書は、面白い結果も報告しています。それは、「カジノ解禁は個人破産率を減少させる場合もある」という事実。

 Biloxi/Harrison County, MSは、カジノ解禁後、著しい自己破産率減少を経験した唯一の調査地域。 また、Biloxi は調査対象の中で、最もカジノが密集した地域であると同時に、ただ一つの行楽地でもあります。

 リゾートカジノはその顧客の大部分を観光客が占めるという傾向にあります。観光客が大挙して訪れることによる経済効果や就業機会の拡大による安定した生活などをその地域の住民は期待出来ると言われています。

 このような環境下において、「地域住民は、きっちりと金銭的義務を果たし、『自己破産率減少』というプラスの結果に結びつける事が出来る」と報告書はその最後を結んでいます。


 カジノ誘致は個人破産率を増加させ、また同時に減少もさせる。どうせなら、破産率減少にカジノを使いたいものです。

*) Sioux City, IA; St. Joseph, St. Louis City , and St. Louis County, MO; Alton, Peoria, and East Peoria, IL; and Biloxi, MS

【参考資料】 

Institute for the Study of Gambling and Commercial Gaming     (University of Nevada, Reno)

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