━Money Laundering (資金洗浄)━ 皆さんも、すでにこの言葉をなんどか耳にした事があると思います。 要は、犯罪行為などによって得られた不正な資金を、多数の銀行の口座を転々と移動させることで、資金の出所や受益者をわからなくする事です。この資金洗浄行為の背後には暗躍する国際組織犯罪グループの存在も囁かれ、各国その取り締まりを強化しています。
アメリカ政府は1970年にBank Secrecy Act (銀行秘密法) を制定し、本格的な資金洗浄防止に乗り出します。このBank Secrecy Actでは、銀行などの金融機関において、1万ドル以上の現金取引が発生した場合、国税庁への届出が義務つけられ、「現金の流れ」に目を光らせているのです。さらに、1985年には金融機関以外に、多額の現金を扱うカジノビジネスにも適用されるのです。 ネバダ州内の特定のカジノでは、Currency Transaction Reportingとよばれるシステムが例外的にBank Secrecy
Actの代わり使われ、不正な現金取引の監視を行っています。 前出にある特定のカジノとは、売上高が1千万ドル以上のカジノを指し、特に「6Aライセンス保持者」として分類され、国税庁に現金取引発生から15日以内にその内容を報告する、という決まりがあります。
売上高が1千万ドルに満たないカジノでは、国税庁の規則に従い1万ドル以上の現金取引の報告を行っています。Currency Transaction
Reportingで、「多額の現金による取引」に関する決まり事が明記されているのが、Regulation 6Aと呼ばれる規則で、その最大の目的が、今回のテーマであるカジノを通しての資金洗浄の防止にあるのです。
など、Regulation 6Aは、プレーヤーを通してカジノ内で取引される多額の現金の流れを把握し、 資金洗浄防止、更には、組織犯罪グループへの資金源防止へと役立てられているのです。 Regulation 6Aに関する全てのレポートは米国財務省の犯罪ネットワーク対策課に報告され、この義務を怠ると、カジノは多額の罰金を科せられます。 記憶に新しい所では、ミラージュカジノに勤める従業員が2001-2002の報告を怠ったとして、カジノ側に2万5千ドルの罰金を要求される事件がありました。 このケースでは、企業側が事前に未報告に気づき、ゲーミング委員会に報告した為、 最も軽い制裁で済んだようです。 しかし、この事件をきっかけに担当責任者を含め3名の経営幹部が会社を去る、という結末になっています。 多額の現金が飛び交うカジノビジネス。カジノ設置に伴い危惧すべき犯罪は暴行、強盗などの目に見えるものではなく、実は資金洗浄などを始めとするホワイトカラー犯罪とも言われます。日本がカジノ合法化の道を進むとき、ネバダ州のゲーミングコントロール法などを参考にカジノが資金洗浄のターゲットにならないシステム作りを強く希望します。
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