━グループ化と顧客共有システム━ さて、こういった背景において急務となったのが「効率的な顧客共有システム」です。 1988年に行われたカジノグループ「ハラス社」の行ったリサーチによると、カジノ顧客の大部分はグループ内の単一カジノだけを利用するのではなく、全国各地に広がる系列カジノをまんべんなく利用する傾向があるという結果が報告されています。 この結果に基づけば、各グループ内カジノの持つ顧客データを一括管理し横断的なプロモーション活動を行うことが、グループ全体の収益向上にとって非常に重要であることが分かります。そして、この顧客共有システムにおいて競合他社に先行したのが前述の「ハラス社」です。ハラスは1998年、米国のホテル業界では初となる全米規模の顧客データベース・ネットワーク「Winner's Information Network(WINet)」を完成。このシステムにより、同社の傘下にあるすべての施設は、リアルタイムに顧客情報をやり取りすることができるようになり、各グループ内カジノはグループ内のすべてのカジノ顧客リストの中から抽出された特定の顧客層に対して効果的なプロモーション活動を展開することが可能になったのです。 そして同時にこのWINetが発展する形で生まれたのが「Total Rewards」という新しい形の顧客サービスシステム。この「Total Rewards」はこれまで各カジノごとに管理していたプレイ情報をWINetを通して統一化することに成功しました。これによって、顧客はこれまでそれぞれのカジノごとでしか引き出すことの出来なかったコンプポイントやキャッシュバックポイントを系列内のどのカジノでも引き出すことができるようになったのです。 このシステムは顧客のグループ内カジノでの回遊性を高め、より高い顧客ロイヤルティを創出すること成功しハラス社のグループ全体の売上に大きく貢献したのです。 実際に数字を挙げてみると。 このハラス社の「Total Rewards」システムの成功は競合各社の顧客共有化競争に火をつけました。 ハラス社に引き続き、 ステーションカジノグループが「Boarding Pass」、 それぞれ名前は違うもののすべてがハラス社の開発した「Total Rewards」のシステムを踏襲したものです。また現在、MGMミラージグループも統一顧客管理システムを開発中との事です。 |