■企業分析 Park Place Entertainment

注)Park Place Entertainmentは2004年1月5日をもってCeasers Entertainmentに改名。またLas Vegas Hiltonの売却を公式に発表しています。

 Park Place Entertainmet(以下PPE)は、1998年、当時カジノ業界に進出していたHilton Hotel Corp.のカジノ部門が独立分社化する形で生まれたカジノグループ企業です。この分社化の結果、Hilton Hotel Corp.はホテル部門だけとなり、系列内にあったすべてのカジノ施設はPPEの経営下に入ります。PPEはネバダ州、ニュージャージ州の米国2大カジノ市場を中心に、アメリカ国内外合わせて29のカジノを運営、総従業員約56,000人を抱える世界最大のカジノ運営企業となっています。本社はネバダ州ラスベガスに設置されており、ラスベガス近郊ではシーザースパレス、パリス、バーリーズ、ラスベガスヒルトン、フラミンゴラスベガス、オーシーズという6つのカジノを経営しています。

 以下ではPPE系列ラスベガス内6つのカジノを「高級志向⇔庶民派」「観光客向け⇔ビジネス客向け」という分布図上に配置してみました。

 系列内でラスベガスヒルトンだけはビジネス客を重視するという特殊な位置付けとなっていますが、その他のカジノはすべて観光客向け、高級志向から庶民派までかなり幅広い顧客層をカバーしているのがラスベガス内PPE系列の特徴といえます。また、それぞれのカジノは外見上別々のカジノに分かれていますが、企業内部では人事、会計部門などかなりの部分で統合管理されており、大手カジノ系列の中では最もグループ経営を重視した企業となっています。

 以下ではそれぞれのカジノを別個に分析してみたいと思います。

  1. シーザースパレス
     1966年建設以来、ラスベガスで数十年に渡って最高級ホテルとして君臨してきたカジノ。全米で単位面積あたりのテナント料が最も高いといわれる超高級ショッピングセンターForum Shopsを抱え、PPE内では最も格式の高いハイローラー層をターゲットとしているカジノである。

  2. パリス/バーリーズ
     パリスは1999年に建設された系列内最新のカジノ。フランスのパリをコンセプトとしたお洒落な外観で人気が高い。系列内では比較的裕福なヤングアダルト層をメインの顧客とする。 バーリーズは1973年オープンのラスベガス内では比較的古いカジノ。ラスベガスの有名ロングランショー「Jubilee!」と立地の良さ以外では目立った特長は無いが、すぐ隣の同系列カジノであるパリスと繋がっており、パリスの施設を利用する事で上手く顧客を集めている。ちなみに建物の構造上のみならず、経営上もほぼひとつのカジノとして運営されている。

  3. ラスベガスヒルトン
     系列内唯一のビジネス客を主なターゲットとしたカジノ。そのコンセプトはラスベガス最大のコンベンション施設であるLas Vegas Convention Centerと併設されているという「立地」から来るもの。逆にラスベガスの中心部からは少し離れているため観光客は少ない。Hilton Hotel Corp.経営時代を踏襲し、その名にヒルトンの名を残す。

  4. フラミンゴラスベガス/オーシーズ
     フラミンゴラスベガスは1946年建設というベガス内では超老舗カジノ。ラスベガスのカジノ発展史の中で最も重要なカジノのひとつ、映画「バグジー」の舞台となった事で一躍有名となった。そのおかげもあってか、カジノ自体のグレードは低いにも関わらず一般にかなり認知が高く、観光客もあつめる。 オーシーズはフラミンゴラスベガスの隣に存在するPPE系列内で唯一の宿泊施設を持たないカジノ。ゲームのレートが系列内で最も低く、一番の庶民派層を狙ったカジノとなっている。実はこのカジノは建物内に遊技施設のみしか持っておらず、経営は大部分がフラミンゴラスベガスの担当となっている。

 PPEの更なる深い分析は次回に続きます。

<文責;Takashi Kiso>

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