━イギリスゲーミング法━
 
 そもそもイギリスで現在のゲーミング法が制定されたのが1968年。 それはカジノ内でのアルコール飲料、ライブエンターテイメントの禁止、プレヤーの会員制度という非常に閉鎖的なものでした。

 何故、イギリス政府はこのような道を歩んできたかというヒントが先ほど述べた1968年の法制定当時にあります。イギリスがカジノ合法化に踏み切った大きな要因は違法カジノの排除、と同時に「国家は社会的に問題とならない限り、一般国民の楽しみを 阻害すべきではない」 という立場でのカジノ解禁でした。

 つまりイギリスがとったのは「人間の本能的側面」からのカジノ解禁だったのです。 そしてもう1つ忘れてならないのはイギリスはカジノを「レジャー」という概念で見ていませんでした。これらの事がイギリスで約30年の間、非常に閉ざされた 「カジノ」をもたらした原因ではないでしょうか?

 しかしイギリスのゲーミング法が約30年ぶりに改正されます。今日まで部分的な改正はあったものの今回のような大掛かりなものは始めて。
 今回、イギリス政府によって提案された新法案では今まで禁じられていたライブエンターテイメントや広告活動が認められ、スロットマシーンなどの賞金額の引き上げなどが盛り込まれました。
  カジノフロアー内でのアルコール飲料のサービスも解禁になります。現在のゲーミング法では、カジノ側はプレヤーに対し、会員制を義務付けし、プレーするまでに24時間の待機を命じていますが、それも廃止される見込みです。その他、カジノ規制地域の緩和により、現在イギリス国内に119あるカジノは約200程度までに増える事が予想されています。 

 要するに、 24時間営業をはじめとするラスベガススタイルのカジノがイギリスにも誕生するわけです。
  これに先立ち、 「観光客の呼び戻し」をはかるダンスでお馴染みのブラックプールはラスベガスのような街を目指すとしています。そうなればラスベガス型の大型カジノ建設が進むことも予想され、 パークプレイス、MGMミラージュなどのカジノ企業は新たな ビッグビジネスチャンス到来に興味津々の様子。  そのほかマンダレイリゾート、ハラースも新たな市場をやすやす見逃す筈はなく、水面下では早くもし烈な戦いが始まっています。

 一方、今回の新法案に反対する声も少なからずあります。 新法案反対の立場をとる精神科医のグループは今回の規制緩和に対し、ギャンブル依存症者及び、犯罪の増加につながると政府に警告。 政府は今回の新法案でも公正な運営を目指し、犯罪排除、ギャンブル依存症への対策などは今まで通り問題ないと反論。こちらでもバトルは始まっています。

 今回のイギリスでの新法案でも分かるように「エンターテイメント」としてのカジノの位置付けは、ヨーロッパでも浸透しつつあるようです。
 
 尚、新法案の実施は2003年夏になる見込みです。  

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