━韓国カジノ市場━

 日本のお隣、大韓民国では1960年代からカジノの持つ観光客誘致力に注目し、国を挙げてカジノ事業を支援してきました。この1960年代に行われた韓国のカジノ合法化は「自国民のカジノ入場を禁止し、外国人観光客だけの入場を許す」という、変則的なカジノ合法化であり、海外からの観光客誘致を狙った政府の外貨獲得政策の一環として位置付けられて施行されてきた国家政策です。さらに韓国政府はその後、1996年にとうとう韓国国民のプレーも認めるカジノ法を制定し、2000年、韓国国民も入場可能なカジノを完成。現在、韓国国内には14のカジノが営業を続けています。  

 Jongbo Kimによる研究論文「How can the experience of the U.S. casino industry be adopeted to South Korea?」(2000, UNLV)によると、毎年韓国カジノを訪れる観光客数は

1994年 626,000人
1996年 517,000人

 と、年間およそ50〜60万人の間で移推しており、この数字は年間に韓国全体を訪れる外国人観光客の17.5%にも及んでいます。また、韓国カジノの売上総額は、

1995年 $284 million (約340億円)
1996年 $267 million (約320億円)
1997年 $244 million (約292億円)

($1=\120換算)

 となっており、約300億円を前後に移推しています。このデータの出た1990年代には未だ韓国国民の入場を許すカジノは韓国国内に存在しなかったため、この50〜60万人のカジノ入場者と、300億円前後のカジノ売上は全て海外からの外国人観光客によるもの。これを見ると、観光客誘致と外貨獲得を狙った韓国政府のカジノ政策は成功を収めていると考えてよいでしょう。  

 さて、以上から韓国カジノ市場がいかに大きな市場であるかということをご理解いただけたと思います。さらに、ここまでの文中で「外国人観光客」という表現を繰り返し使って来ましたが、実は韓国カジノを訪れる外国人観光客はその半数以上、およそ6割が日本人観光客だと言われております。今回、ご紹介した300億円前後のカジノ売上と50〜60万人のカジノ入場者の大部分は、日本から韓国に流れ出しているカジノ客とそのカジノ客が落とした日本からの流出金なのです。

P.S.  その顧客の大半が日本人であるといわれる韓国カジノ産業。近年、自国民のカジノプレーも許す包括的なカジノ合法化も果たし、日本のカジノ合法化論議において大いに参考にすべき対象です。しかし、残念ながら韓国の資料はその多くが韓国語で書かれており、日本語、英語しかわからない私には理解不能、研究用の資料が圧倒的に不足しております。もし、このページの読者の方で韓国カジノに関する良い資料をお持ちの方がいらっしゃいましたら、是非ご連絡ください。参考にさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

<文責:Takashi Kiso >

参考文献:How can the experience of the U.S. casino industry be adopeted to South Korea?, Jongbo Kim, 2000, UNLV

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