━カジノと既存ギャンブルの違い━  

 「日本には公営ギャンブル、パチンコと各種ギャンブルが存在するのに、なんで今更カジノの合法化をする必要があるのか???」  

 皆さんはこんな事を思った事はありませんか?それはもっともな疑問。カジノというのがギャンブル産業の1形態である限り、日本の既存産業であるパチンコ、公営ギャンブルと同列に扱われてしまうのは宿命みたいなものかもしれません。  
  にもかかわらず、依然として経済界、政界で声高くカジノ合法化が叫ばれているのは、それなりの理由があるから。カジノ産業と既存のギャンブル産業にはその性質に決定的な違いがあるのです。  

 カジノと既存ギャンブルビジネスの決定的な違い。それは…

既存ギャンブル→地元顧客を狙ったもの

カジノビジネス→地元顧客と同時に観光客をも集める  

 この点です。  
  「既存ギャンブルはあくまで地元顧客を狙ったもの」。これは一度でもパチンコ屋や競馬場を訪れた事のある人ならば体感としてわかる事でしょう。そこを訪れるお客さんは大抵が地元の中年男性。競馬以外に掛けるお金はわずかな昼食代と交通費のみ。これでは大きな経済効果は期待できません。  

 一方、カジノ産業はギャンブル産業であるのと同時に各種娯楽を提供するエンターテイメント産業、リゾート産業でもあります。つまりは、地元顧客のみならず、遠方からの観光客を誘致する事もできるということ。  

 米国ラスベガスを例として考えてもらえると判りやすいかもしれません。ラスベガス周辺はもともと荒野が延々と続く山岳砂漠地帯、人など殆ど住んでいなかった地域です。そんな砂漠の中になぜこんなにも人が集まるのか?それはそこにカジノがあるからです。  
  現在、ラスベガスはアメリカ国内のみならず世界中から観光客を集める一流の観光都市です。世界各国から集められた観光客は宿泊、交通、飲食、ショッピング、その他に莫大なお金を落とす。カジノ産業が地域経済に与える経済効果は計り知れません。  

 このようなカジノの持つ「観光客誘致力」に早くから注目してきたのが日本のお隣、大韓民国です。実は韓国では、1960年代から政府の外貨獲得政策の一環として部分的にカジノを認めてきました。韓国ではじつに40年もの間、外国人観光客のみが入場を許されるという変則的な合法カジノが存在してきたのです。その政策はすべてカジノの「観光客誘致力」、そしてそれによってもたらされる「外貨獲得」を期待していたからに他ありません。
(韓国はその後、2000年にとうとう韓国国民のプレーも認めるカジノ法を制定し、カジノの包括的な合法化にいたりました)  

 東京、沖縄、大阪と現在、カジノ合法化を健闘している地域はいずれも地域の観光振興政策の一環としてカジノ合法化をうたっています。さてさて、彼等の思惑どおり観光客は集まるのか?それはまた別の項目でテーマとして扱いましょう。



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